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「No.4 Mさんの体験談」

(作成:1997年5月28日 改訂:1997年9月7日)


(TEXT : M / E36 325i IDING 3.0 & E36-M3 IDING M3-S2)
ぼくがBMWに乗り続ける理由のひとつに、事故の体験があります。
89年に自分の判断ミスからカーブを曲がり損ねスピン、電柱にAピラーを激突さ せました。そのときの車は88年型E−30 325i M−TECでした。
小淵沢の別荘地帯で深夜のこと、他の車や人を巻き込まなかった事だけが本当に救 いでした。同行していた友人たちに助けられ、救急車で入院、頸椎圧迫骨折との診 断で3週間ほどの入院で復帰できました。

衝突の瞬間をスローモーションのように憶えています。
衝撃で自分の体がシートから持ち上がり、頭をルーフにぶつけ、次に顔がルームミ ラーに衝突、普段はしないはずのドアロックの跳ね上がる音、同時に膝をハンドル に強打
しました。ふっと我に返ると、フロントガラスは無数のひびが入り、エンジンは止 まりそうなアイドリング、自動的にフラッシャーが作動し、そのとき猛烈な首の痛 みにおそわれ、自分の頭を支えることができなくなりました。シートベルトをやっ とはずし、駆けつけた友人にエンジンを止めてもらい、側溝に左前後輪を落とした ため左ドアが開かず、フロントガラスを割って助け出されて横になると、意識は薄 れていきました。

BMWに備わっている危険回避の能力を残念ながら、試すことはできませんでした が、ひとたび事故にあった場合の安全性は十分にわかりました。

○衝突ショックを感じると、たとえドアロックをしていても瞬時に解除、そしてフ ラッシャーを作動させること。
○ルームミラーが簡単に脱落してくれたので顔の怪我が少なかったこと。
○衝撃でドアーは開かなかったこと。
○フロントガラスが合わせガラスだったため飛び散らず、ガラスによる怪我がなか ったこと。
後日車を見ましたが、フロアパンはAピラーあたりから垂れ下がり、地面に着くよ うな曲がり方でした、ところが詳しく見るとルーム内はほとんど変形していません。
ルームの空間を守るために、かなり巧みに作られているようです。
ドアを閉めたときの剛性感の理由がやっとわかりました。
自分のミスがこのような結果を招いたわけですから、悔しく情けなくて、89年型 の同じ車を探してもらい、7万q乗って今友人のもとで元気に走っています。

その年の暮れに、NHKのスペシャル番組で「死者半減、西ドイツはこうして成功 した」という交通事故対策について、西ドイツでの取り組みをレポートした番組が 放映されました、反響は極めて大きく、その後これが契機となり、 国産自動車メーカー各社が各種の安全性に積極的に取り組みだしたようです。
番組の内容は、交通事故対策を交通教育、保険制度、救急体制、事故調査、そして 自動車メーカー、全て連動して行うという驚くべき内容でした。
その中でも自動車メーカーが、いかに乗員を守る為の車造りを行っているかが、と ても興味深く、自分の事故体験と照らし合わせて納得したのを憶えています。
55qのオフセットクラッシュ.テストはドイツでは当たり前のことだったのです。

自分の命を助けてくれたのかもしれないBMWです、これからは他人に対しても優 しい運転を心がけようと思います。

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