[メンテ4]  (←前) (次→)

第5話 「My Cockpit」

(作成:1997年3月20日 改訂:1997年7月17日)

(TEXT : BOND / Z3)
コックピットの居心地はなかなか良い。
必要なものには、スッと手が届く。
この辺りはBMWの文法通りだ。
ただし、逆に「面白味」にかけるとも言えるだろう。
全ての物が非常に理路整然と並べられているが、遊び心は伝わってこない。
せっかくのオープンカーだ、もう少しデザインに凝っても良かったと思う。

コックピットからの眺めは、フードのバルジがやたら目に付く。
Z3に乗っていることを意識させられる部分だ。
相対的に鼻が長くお尻が短いプロポーションである。
シートが後輪直前に位置するため、最初は車庫入れなどで違和感を憶えた。
ステアリングを切りながらバックすると、他の車とは感覚が異なるのだ。

さて、
風の巻き込みが相当強いので、真冬のドライブはきつい。
サイドウィンドーを上げ、シート後部のウィンドゥディフレクタを立てることにする。
これで、後部からの風の巻き込みはかなり軽減され、それなりの効果はある。
しかし、完全に巻き込みが無くなるわけではなく、当然、頭頂部を流れる風はそのままだ。
トップを開けたまま、高速に乗り入れるのはお勧めしない。
「オープンカーのパッセンジャーシートにロングヘアーのフェアレディー」など、 誰かが勝手に抱いた幻想に過ぎない。
これで、女性を横に乗せたら髪がかき乱され、せっかく私のために早起きしてブロー したヘアスタイルを台無しにしてしまうことだろう。
それでも、シートヒーターは快適だし、ヒーターブロアの効きも申し分ないから、 晴れた日なら全く快適だ。
当たり前のことなのだが、トップを開けた室内は本当に明るい。
開放感いっぱいだ。
これを味わってしまうと、もう戻れない。
待ち行く人の「Z3だぁ」という声が、時折飛び込んでくる。
こんな時は鼻歌交じりだ。
ただし、トップを閉めた時の居住性も決して悪くはない。
確かにトップを閉めるとおわんをかぶせたようで見た目は不格好であるが、 そのおかげでヘッドクリアランスが充分に確保されており、 トップを閉めたとたんに閉所感に苛まされることはない。
当然、斜め後方の死角は相当悪くなるので、注意が必要だ。

もう少しインテリアの話をしよう。
このベージュの内装色は、少々汚れが目立つことを除けばなかなか雰囲気があって良い。
ただ、ウッドパネルはもう少し明るい色調の方がよいと思う。
やはり、オープンカーは「中」も見られるわけであるから、 この辺りへのこだわりは重要だ。
これで、もう少し遊んだデザインで、 トップの色もベージュにコーディネートされていれば完璧なのだが...。
北米仕様ではちゃんとベージュも選択できるのに。
(モデル末期にベージュのトップで差別化されるのだろう、きっと。)
しかし、物を置くところがまるで無いのには閉口する。
グローブボックスにはコンパクトカメラどころか、車検証も入らない。
なんでもかんでも、トランク行きだ。
もう、割り切るしかない。

ドライビングポジションは、やはり低い。
シートはスライドとリフトがパワー化されている。
リクラインはノンパワーであるが、無段階に調整が効く。
私は着ている衣服の厚みによって、細かくスライド量を調節するので、 パワースライドには重宝している。
シートバック部はともかく、 座面のクッションが少々薄いような気がするのは私だけだろうか?
座面前部のサポートも不足気味だ。
E36のスポーツシートのように、座面前部が持ち上がってくれると助かるのだが。
ステアリングは、今日の標準から言えばずいぶん大ぶりだ。
ステアリングポジションも固定式なので、少し違和感が残る。
私はステアリングを近くに置くドライビングポジションを好むため、 欲を言えばテレスコがほしいが、せめてチルトぐらいは付けて頂きたいものである。
そうそう、Z3のドライバーズエアバッグはフルサイズではなく、 小型のいわゆる「ユーロバッグ」であるが、おかげで、デザイン性に優れる。
これで、もう少し小径であればさらに気分も出るというものだ。
私は、「パッシブセーフティーの基本はシートベルトでしっかり体を シートに拘束することである」と考えている。
だから、エアバッグのサイズは問題としない。
ドライビングポジションばかりでなく、フロントスクリーンもかなり低く、 寝ているため、登りのワィンディングではバックビューミラーが 死角になることがしばしばだ。

さて、「フィル・コリンズ」もそろそろ終わりに近づいた。
そろそろ、Z3の「走り」の部分について話して行こう・・・・・。

[メンテ4]  (←前) (次→)