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第23話 「期待した私が甘かった」

(作成:1997年10月29日 改訂:1997年10月31日)

(TEXT : E39EXE3 / E39 528i )

さあ4回目の交換、純正コンチネンタルでのテストです。
バランスも、アライメントも調整、きっちり行いました。バランスに関しては、測 定器の機差(これは測定器のよるばらつきです、バランサーは各メーカによって、 回転速度、精度もことなり、これによる、測定器間の誤差を機差といいます)を確 認するため、別のショップで再度測定し直しました、測定誤差は、僅か2グラムで す。よってバランスも良いでしょう。振れも併せて確認し僅か1〜2ミリの範囲に 収まっています。タイヤの特性からいって、多少エージングをかけないと、いわゆ る完全弾性体にならないため、100キロ程度走行し、初期応力を与え、タイヤの コンデションとしては完全な状態で高速へ向かいました、気持ちは直っていてほし いという気持ちと、もしかしたら、、という気持ちが交錯します。さて高速にはい り、導入路を加速していきます。加速している最中は発生しにくいので、110キ ロで巡航です。
ダダダダダと振動するではないですか。もうお先まっくらです、あれだけ完璧にセ ットしたのに・・・・・・・

それでも出たのです、確率的に考えても4回も変えれば、良くならないほうがお かしいのです。振動のレベルはレグノとそう変わりませんから、もしかすると、E39 は振動を吸収するサスペンションではなく、発生するサスペンションとしか思えま せん。
またジャーナリストの徳*寺がすばらしいサスペンションと言っていたのが、ふと 浮かびました、彼は過去E39が出たときぼろくそに評価して、いざBMWの宣伝に出てか ら、180度評価が変わった人ですから、その後のことは、信じれないですね。
こうなったら出来ることをやって見ようと思いました、これでは100万のフェス テバと変わらないのですから、これでは到底満足出来るはずもありません。
その日できることは、バランスと振動の因果関係です、一般にバランスが悪いと振 動するといいますが、どの位のアンバランスで実際振動が大きくなるのか評価する ことにしました。

ちなみに、知り合いのタイヤメーカの人いわく100キロ前後で8キログラムの 法線方向の加振力、アンバランスフォースまでが、ごく一般車両の振動として感じ られないレベルだそうです。これは参考として、実際に前輪右のみ10グラムずつ50 グラムまで、ウエイトを付け100キロ前後で走行してみました。

まず10グラムです振動は悪くなりました20%位で僅かに振動が増えた感覚で す。路面によっては解りません、10グラム程度の有無の差は分かりにくいと思い ます。
20グラムで比較的はっきりわかります。まあ30%振動が増えた感じです。
30グラムかなり酷く130キロ以上出す気がしません。
40グラムハンドルが10ミリ位振るえ怖く、ヨーのモードが発生します。
50グラム、40グラムと同様でタイヤがはずれような感覚になりかなり危険名状 態です。

という結果です、この実験により、わずか10グラムの差でも変化が出たことです。 これを測定した速度110キロにおける法線方向の加振力、アンバランスフォー スに換算しますと。

16インチホイールの場合
10グラム 2000グラム
20グラム 4000グラム
30グラム 6000グラム
40グラム 8000グラム
50グラム 10000グラム

となり、15インチの場合は半径比例となるので上記数値の93.5%になります。

数グラムの変化は高速走行において大きな力になってあらわれることが分かります。 加振力は速度の二乗で利き、ユニフォーミティは速度依存性が少なくなります、但 し、RFVの一次成分とアンバランスは同じ周期になることと、車体の共振振動数との 兼ね合いがあるため、この成分を分離しこの程度の評価テストでは原因を特定する ことはユーザレベルでは難しいと言えます。

このことから単純なアンバランスを考えた場合、この車は僅か10グラムのアンバ ランスでも、振動をボデーに伝えてしまうようなセッテイングになっているようで す。通常このくらいでは、問題にならないはずなので何か問題が別にあると考えざ るを得ません。実際にこういった弾性体を完璧にバランスをとることは不可能で、 多少のアンバランスはあるものとして、セッティングをしている筈だからです。も し、他の車も同様であれば、どの車も出てしかるべきです。当然セルシオもです。

不思議なのは、525のタイヤの場合相当に良くなったことです。加振力に関し ては半径比例ですからそれほどかわらないはずです、サイド部も同程度しか変わり ませんし。又重量も10%程度でしょう。ただこれらを総合的に同程度の作用があ ると仮定し、きかせたとすると約73%低減されます。効果を確率的にとらえるな らば83%の低減です。
ただしこの計算は単純計算ですから、むしろ共振振動に伴うラフネスの影響が大き いと考えると少しは理解し易くなります。タイヤの重量を計る必要がありそうです。 どちらにしてももう少定量的に捕らえる必要があります。

とはいえ、全てこの調子ですし、他の方も、こういった問題で悩んでいるのですか ら、自尊心があるならばBMWも何らか対策をとってほしいものです。
実際に同じ現象を持っていて、別の方がBMWに問い合わせしたところ、これがBMWの 許容レベルという回答がかえってきたそうです、回答した人は、私の車も、乗った 事がないのにですよ。
こういう認める認めないは、政治家の国会答弁などに似てますね、なぜ正直になれ なく、事実を曲げてまで、隠し、保護する必要があるのか不思議です。こういった ことに対する、前向きな姿勢と行動が、新しい技術と、信頼を築くと思うのは私だ けでしょうか?

みなさんのE39どうですか、振動ないかた、あるかた、是非状況聞かせてください。 メールアドレスは
y-naoki@interlink.co.jp
です。これは私だけの問題では無くなっています。是非是非、ご協力お願いします。

定量化しないと、ならないと感じています、測定して、レポートと合わせ、中島社 長に伝えなければ解決の糸口すら見つからないような気がします。
そろそろBMWが所持していないという(はずかしい)FFTアナライザと低周波数、高 感度加速度ピックアップが必要になってきました。
これは大事です。


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