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第14話 「いい中古E34を探す為の注意点」

(作成:1998年11月20日 改訂:1999年1月13日)

(TEXT : NIGHT HACKER / E34 525i )
(Special Thanks 越後屋+しーさま )


最初に断っておきますが、BMWを知っている(乗られている) 方々には面白くも何とも無いかもしれません。
以下の文章においての文責はBOHP No.1978 NIGHT HACKERにあります。



最近値段がかなりこなれて来たせいか E34の中古車を探しているという方からのメールがかなり増えた。
メンテを書いている以上これも書かなくてはいけないかと思い、 良いE34を探すための注意点をまとめてみた。

E34の型式は88年式から95年式まである。
しかしいわゆる輸入車は毎年何らかのマイナーチェンジが行われている為、 1年として同じ車はないといっても過言ではない。

E34 525iについてかなり簡単ではあるが大まかな割り振りをしてみる。

◆88年式〜95年式まで
エンジン SOHCいわゆるシングルカム
ミッション ZF社製4速
以下追加

◆91年式
エンジン DOHCいわゆるツインカム
ミッション ZF社製4速(一部JATCO社製5速)

◆92年式
エンジン DOHCツインカム
ミッション JATCO社製5速

◆93年式〜95年式最終モデル
エンジン  DOHC+VANOS
ミッション JATCO社製5速

◆93年式〜95年式
530i 540i追加
エンジン DOHCV8エンジン
ミッション JATCO社製5速

◆93年式より540i用ワイドグリル追加

◆この他に90年より525にtouring、93年には540 touringも追加された。

簡単ではあるが割り振るとこうなる。
1年ごとに仕様が若干異なる為、車内の様子は異なる。
E34には各種Selection Modelが多数存在する為、限定車が多い。
92年に発売された10th Anniversary Modelを始めとして、 95年まで1年に1回は何らかの限定車が発売された。
これらの車は他の一般車と違い買い得感が高い車種であり、 中古車市場で見付けられたならば、一度は見せて頂いて損は無いと思う。
メンテを書いて頂いた越後屋さんも92年式のAnniversary Modelを所有していた。



以下越後屋様引用

1991後期発売の1992年Model
値段は車両本体価格650万円
カラーはM-Blue . D-Black . L-Green
535i:4速AT Lハンドル
525i:5速AT R・Lハンドル
全仕様合わせて700台限定
525初のJATCOミッション搭載
M社デザインによるスポーティーで豪華な内装
本皮スポーツシート、アームレスト
M−Techステアリングホイールにレザー
(通常のM−Techステアリングはプラ製、Anniversaryはホーン部も含め本革製仕様)
ドア内側、シフトレバー、ダッシュボードに鏡面仕上げウッド
チルトアップ機構付き電動スライディングルーフ
ドアステップに10th Anniversary記念プレート
レザーシートに合わせた天井内張り、ダッシュボード
精悍な表情をつくるシャドウライン
追金7万円で535用メッシュホイール(ディーラーにより一部変更あり)



BOHP No.614のしーさまは94年式のスポーツパッケージを所有。
スポーツパッケージとは
以下しーさまより引用


●エクステリア装備品
 M-Techフロントスポイラー、サイドスカート、リヤスポイラー、 リヤアンダースポイラー、
  Mスポーツサスペンション、シャドーライン、サンルーフ
 アロイホイール(6J-15)
 色は、D-Black . Silver . White . Red . Abuts Blueの選択(Abuts Blueは限定)

●インテリア装備品
 電動スポーツシート(ハーフレザー&クロス)
 ウッドパネル(コンソール、ドア、センター)
 ウッドシフトノブ、M−Techステアリング

こんな所だったと思います。
メッシュのホイールは、525の場合は225-60-15
エアコンがデュアルタイプなのは、限定ではなく、94年モデルだと520以外は標準
その他細かい違いでは、時計が520はアナログ、525/530はデジタル、
540はオンボードコンピュータ付き


●スポーツ・パッケージ・モデル特別装備

                        525i  530i  540i
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 スポーツ・シート
                         ○   ○   ○
 クロス&レザー・コンビネーション・シート
                         ○   ○   ○
 メイプル・ウッド・パネル
                         ○   ○   ○
 Mスポイラー・パッケージ+リヤ・スポイラー
                         ○   ○   ○
 シャドー・ライン
                         ○   ○   ○
 Mステアリング・ホイール
                         ○   ○   ○
 Mスポーツ・サスペンション
                         ○   ○   ○
 アロイ・ホイール(クロススポーク・スタイリング)
  225/60R15  7J×15
                         ○   −   −
 2ピース・アロイ・ホイール(クロススポーク・スタイリング)
  (FRONT)235/45ZR17 8J×17 (REAR)255/40ZR17 9J×17
                         −   ○   ○

 電動サン・ルーフ
                         ○   ○   ○


ボディカラーは、アルピンホワイトIII、ライトレッド、コスモスブラック、 アークティックシルバー、アーヴスブルー、デイトナバイオレットの6種から選択。

同じ時に、ラグジュアリー・パッケージ・モデルとウィンター・パッケージ・モデルと言うのもありました。


●ラグジュアリー・パッケージ・モデル特別装備(○:特別装備 ●:標準装備)

                        525i  530i  540i  525iT  540iT
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 レザー・シート
                         ○   ○   ○   ○   ○   ○
 フロント・シート・ヒーティング
                         ○   ○   ○   ○   ○   ○
 電動フロント・シート(*メモリー付
                         −   ●   ●   ○*  ●   ○*
 ランバー・サポート(運転席)
                         −   −   ○   ○   −   ○
 フロント・アームレスト
                         −   −   ○   ●   −   ●
 電動リヤ・ウィンドウ・ローラーブラインド
                         −   −   ○   ○   −   − 
 ウォールナット・ウッド・パネル
                         ○   ○   ●   ●   ○   ●
 アロイ・ホイール(BMWスタイリング)
                         ○   −   −   −   −   −
 アロイ・ホイール(クロススポーク・スタイリング)
                         −   ○   ○   ●   ○   ●
 リモートコントロール・セントラル・ロッキング・システム
                         −   ○   ●   ●   ○   ●
 電動サン・ルーフ
                         ○   ○   ○   ○   −   −
 電動サン・ルーフ(ツイン)
                         −   −   −   −   ○   ○


●ウィンター・パッケージ・モデル特別装備

                        525i  530i  540i  525iT  540iT
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 フロント・シート・ヒーティング
                         ○   ○   ○   ○   ○
 ヘッドライト・ウォッシャー
                         ○   ○   ○   ○   ○
 ASC+T
                         ○   ○   ○   ○   ○

特別仕様車にはこのような各種装備がおごられている。
うーん、羨ましい。



VANOSとは?

トルクを増やす為に装備された機能
VAriable NOckenwellen Steuerungのこと。
最近のエンジンに搭載されている可変吸気システムのこと。
あまり詳しい事は私が乗っていない為言えないが、 いわゆるHONDA V-TEC。かなりその仕様は異なるが、 機能的には殆ど同じといっても過言ではない?
私も以前HONDA車に乗っていた事はあるが、(筆者紹介参照) HONDAエンジンの吹け上がりは恐らく世界最高かもしれない。
(4発に限る、NSXは別にしてください)
BMWに乗っていてそんな事を言うやつは乗るな! という方がいらっしゃるかもしれないが、 ぜひ1度試乗でも構わないから乗ってみると分かるでしょう。
車はエンジンだけじゃないにというのも分かると思います。
BMWには「え」も言えない色気がありますから。
ドアを閉める時や走り出してからの操作性などは 他メーカーの追随を許さない。
たとえそれがMercedes-Benzと言えどもです。

今回私がチョイスしたのは92年式E34 525iだが、こちらはDOHC24V、 JATCOミッションが載った2年目のモデル。
JATCOとは日本製のミッションであり、トヨタ車などに多く見られるが、 味付けなどのセッティングがかなり異なる為、 同じミッションを搭載している日本車とはかなり違う。


ではそろそろ本題



気を付けた方が良い点


◎ミッション(栄えある第1位)

ZF社製かJATCO社製が搭載されているかでかなり寿命は違う
ZF社製の悪評という訳ではないが、 7万〜8万kmで滑り出し、いきなり逝くというのは有名な話
JATCO社製でも完全に治ってはいないが、我が家のE34 525iは現在すこぶる好調
ちなみにミッション載せ変えとなると総額50万円〜
やはり走行距離は5万km以内で抑えておきたい
98年11月現在で5万km以内で150万円以下というのは まず危ないのが多いと見て良い
しかしながらこれはある程度は運
これから購入しようというあなたの運の強さに期待します
感覚的には ZFは繋がりと切れがハッキリしていて、 スパッというミッション好きにはZF人気が高い
ただ、そういう性格上、滑り始めると一気にという誤解を生じやすい
個人的には、JATCOの少々後腐れのある感覚より、 後腐れ無い、ZFの切れが好きなドライバーは多い


◎エアコン

こいつは難敵。外から見ただけじゃ分からない
ですが作動音等で聞き分ける事が出来る
ジャー、カラカラ、ゴロゴロなどの水を流した時のような音は コンプレッサー本体が壊れているか、もしくはフィルターの目詰りが原因
フィルターだけでしたら7〜8千円程度の出費で済む
しかし、コンプレッサー一式となると15万オーバーは固い
私も経験した、痛い、しかも私は真夏だったので、地獄のような経験をした
この他に暖房をいれた時などに焦げた匂いなどしたら フィルターの可能性が濃いので契約前に交換した方が良い


◎ 内装のシミ、浮き

内装に関しては煙草の焼けこげ、シミ、傷が無いか入念なチェックが必要
自分が嫌煙者なのに喫煙車を買う事はいやでしょうから、 灰皿などの装備品のチェック、天井のヤニの染み付きなどをチェックをしましょう
まあこれも思いっきり掃除されていたら素人目には分からないかもしれませんが

E34は内装の張りが強いせいなのか、ある日突然皮の部分が下地からはがれて 浮いてきます。
主にドアの肘掛けが無くなるケースが多い
私の後部座席は現在無い状態です。
ドア本体の部品との接着が甘くなるのが 原因かと思われますが、気が付くと浮いているのでお気を付けて
ドライバーズシートなどの前席だけでなく、後部座席の部分をチェックしてください
まあ浮いてきましてもドア1枚につき6千円から9千円程度で修復は出来ます


◎ウィンドウからの異音

これはウィンドウの開け閉めで分かる事ですから、 見に行った先ですべて最初に実践できる事
何か引っかかる、カタっと音がする、キュルキュルと滑りが悪い感じがすれば、 すぐに言っておいた方が良い。
買う前ですし、向こうは売りたい一心で来ますから、なんやかんやイチャモン付けるなら契約する時です
(うーん、何か嫌われてしまうかも)


◎アライメント

本来E34 525iは鬼のような直進性を持っています
しかし年式相応というか徐々に、各アライメントが狂いはじめる
これらは試乗してみないと分からないが、 中古車といえども車ですから、仮ナンバーをとれば試乗できる
ステアリングを中央に、左右どちらかに少し傾けないと直進しないようなら その車は他がいくら良くても諦めた方が良い
しかしブッシュの交換やアライメント調整などでこの問題は解決はする
しかし、中古車屋さんがそこまでやってくれるとは思わないし、 アプルーブドカー(BMWディーラー認定中古車)を選んだ場合は 直っていなければ欠陥車です。
どうしても試乗できないのであれば、ホイールの歪みや傷などが無いか チェックしてください。
歪んでいたら即交換、もしくは候補外傷は後に自分でも治せない事はないですが、 交換となると30万近くの出費となりますので御用心
だって中古車に新品の純正ホイール入れる方って居ないでしょ?
ホイールが傷付いているという事はその部分に接触があったという事なので サスペンションやブッシュ等に何らかの影響がある可能性がある



アプルーブドカーについて少し書いておく。
以下BMW正規ディーラーより抜粋

Approved Car

BMW アプルーブドカーシステムは1年間保証。しかも走行距離は無制限です。
専門メカニックたちが、確かな技術とサービスで、信頼のクオリティをお届けします。
一部車種は6ヶ月保証となる場合があります。

◎現在92年式より以前は一部車種となっている。
この場合走行距離にも限度が付く。ディーラーによって異なりますので お近く又は、ご購入のディーラーでお確かめください。

納車前に14品目のパーツを新品交換。80項目に及ぶ点検を実施。
全てのBMWアプルーブドカーは、バッテリー・各種オイルなど、 お客様への納車前に14品目のパーツを全て新品に交換いたします。
また、80項目に及ぶ厳しいチェックと入念なチューニングが施されます。
専用テスター、専用工具による純正パーツのみを使った整備で、 常に最良のコンディションをお約束します。
一部車種を除きます

◎下の方になってくると何やら当たり前の事が書いてありますね。
何しろ専用テスターや工具は無いと正規ディーラーとはいいませんからね。

24時間のエマージェンシーサービスと全国ネットの保証をお約束します。
BMWアプルーブドカーは、アフターセールスのクオリティが充実しています。
24時間のエマージェンシーサービスを実施。
電話一本で全国どこでも対応できます。また、購入時に統一保証書を発行。
購入後は日本全国のBMW正規ディーラーによる、統一の保証とサービスが受けられます。

◎ディーラーで買う場合これはセットでやって来ます。
その代わり値段は通常の市場価格より10万〜20万円ほど高めの設定です。
値引き交渉で頑張ってください。



以上簡単ではあるが、E34中古車を購入する場合においての注意点をまとめてみた。
これから購入をされる方にとって少しでも助けになれば幸いです。
車を購入する際はハヤル気持ちを抑え切れなくて、 ついつい早まった契約をする方が多い。
かなり高額な買い物ですから、はやる気持ちを抑え、 いつか気に入った車がある、自分が契約出来なかった車は 縁が無かっただけと思うよう心がけてください。

購入後はBMWおたっきーずの会員となってBMWライフを楽しみましょう。


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